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ベレー、ニット、キャスケット…帽子の特徴や着こなしルールを超即答

tokila編集部

帽子は身分・権力の象徴だった

他の衣類と同じように、帽子も元々は頭部を「保護するもの」でした。
しかし、文明が進み階級社会ができあがると、帽子は身分を示すものであったり、権威の象徴としての役割を持つようになります。たとえば王冠も帽子の一種と考えれば、富める人はより尊大で豪華な美しいものをかぶることで、その力を示したといえるでしょう。古代エジプト時代には、非常に高さのある王冠をかぶった王の絵が残されています。

エジプトのファラオの墓

その後、古代ギリシャ時代には現在の帽子の原型が登場します。
古代ギリシャの帽子ペタソス

頭部は丸く、広いブリム(つば)がついたこの帽子はペタソスと呼ばれ、藁やフェルト、革などでつくられていました。いわゆる麦わら帽子のような形で、当時の兵隊の兜もこれと同形だったようです。
(余談ですが、これに翼を付けると、ギリシャ神話の旅の守護神・ヘルメスの帽子“ペタソス”になります)

このペタソスの進化系といえるものが古代ローマ時代のピレウス帽です。

古代ローマの帽子ピレウス

ピレウスはペタソスからブリムをなくしたような形で、フェルト製だったと推測されています(古代ギリシャ語でピレウスは「フェルト」の意味)。当時の一般男性はよくこれをかぶっていたようです。

19世紀からファッションアイテムとして発展

では、女性のヘアスタイルはどのように変わったのでしょうか。

西欧の女性は、10世紀ごろまではヴェールや布で髪を覆ったり、素朴なわらの帽子をかぶるなど、シンプルなスタイルが一般的でした。

やがて中世に入ると、ターバンやエナンとよばれる角型の帽子が流行りました。左右に角が生えたような、二重エナンスタイルもあったようです。

二重エナンの角型帽子をかぶった女性

そして、ルネサンスからロココ時代。
歴史上最も、女性のヘアスタイルが発展を遂げたのはこの時期といっていいでしょう。

それまではあくまで髪の毛を美しく見せることが重視されていたので、身だしなみといってもせいぜい髪にカールやロールをつけてまとめ、ヴェールやリネンのボンネットをかぶる程度でした。

ところがルネサンス期には、次々にデコラティヴなスタイルが登場します。
髪はどんどん重ねて積み上げられ、ピーク時には顔の2倍以上の高さまで結い上げられることもしばしばでした。帽子はあくまで添え物であり、髪をまとめた部分に小さなキャップをつける程度。

マリー・アントワネットの肖像画

Jean-François Janinet [Public domain], via Wikimedia Commons

しかし、フランス革命が起き、ロココ時代に終止符が打たれます。
服装は再びシンプルな古代風のエンパイア・スタイルに変わり、女性の帽子は本格的にボンネットが主流に。
1820年代のボンネットのスタイル画

帽子の両横についた長い紐リボンをあご下で結ぶのが一般的なスタイルです。素材や色も実にさまざま。昭和時代のフランス人形や、現在のロリータ・ファッションを見ると、この当時のボンネットに大きく影響されているのがわかります。

そして、19世紀末のベル・エポック。今度は帽子の一大旋風期がやってきました! 
端的にいうと、帽子の面積はグッと大きくなり、ファッションの中で大きなポイントを占めるようになります。ブリムは顔の2倍ほどまで大きく広がりました。

1899-1900年のニューヨークの百貨店の帽子カタログ1

1899-1900年のニューヨークの百貨店の帽子カタログ2

ロココでは縦に伸び上がった頭部のシルエットが、ベル・エポックでは横へ横へと伸びるのです。
ブリムの上は造花や果実、オーストリッチの羽などで飾られ、ふわりと優美なフェミニン・スタイルの完成です。ときには非常に蠱惑的といわれる魅力をつくりだしました。

1900年に発行された記事 パリからのデイリーヒント 旅行用帽子カタログ

さて、20世紀に入ってからは、ファッションの多様化に合わせ、帽子もさまざまな形が登場します。続いてはスタイル別に、帽子のかぶり方を紹介します。

ベレー

緑のベレー帽をかぶった女性

ChrisVanLennepPhoto / PIXTA(ピクスタ)

ベレーはどんな帽子?

ブリム(つば)がなく、クラウン(頭を入れる部分)とぴったりしたサイドでできています。
素材はウールやフェルトなどが多く、しなやかなシルエットを描きます。
これをかぶるだけでも、親しみやすさや愛嬌といった、くだけた雰囲気、また後述の歴史からもわかるように、フォークロアテイストを演出できるでしょう。逆に、フォーマルシーンには不向きです。

ベレーの歴史

「ベレー帽はスペインとフランスの国境に近いバスク地方で生まれた」という説が一般的とされています。
ところが、このバスク地方で1840年から続く老舗ベレーメーカー、ローレールは、これを明確に否定しています。

ローレールによると、元々はバスク近郊のベアルンという地域にいた羊飼いたちが、厳しい天候から身を守るためにフェルトの頑丈な帽子をつくったのが始まりなのだそう。その後、バスク地方の庶民がこれをかぶる姿をナポレオン3世が見て興味を持ったところから、「バスク・ベレー」として世界的に有名になります。

ナポレオン3世

第二次世界大戦以降は、多くの軍隊がアーミー・ベレーとして着用しました。
ちなみに、国によって、顔の左右どちら側に下げてかぶるかが異なります。たとえば英国式、米国式は右下げで、フランス式、スペイン式は左下げです。

初心者でもすぐできる、基本のベレーのかぶり方

まず、ベレー帽そのものを見てみましょう。どんぐりの帽子のような、楕円形です。

これをこのままかぶると…「ザ・昭和の漫画家」になってしまいます。

なので、まずは斜めに折り、左右どちらかに平たくつぶした方をたらします。
これで基本のかぶりが完成!

ニット帽

白いニット帽をかぶる赤ちゃん

FamVeld / Imasia(イメージア)

ニット帽はどんな帽子?

ニットで編まれた帽子の中でも、いわゆる「キャップ」、つまり頭にぴったり合う形のものを指す場合が多いです(“ニット帽”という言葉自体はニット製の帽子全般を指すので、たとえばニットのキャスケットも“ニット帽”といえなくはないです)。ビーニーやワッチが現在のニット帽の典型的な形といえるでしょう。帽子の中でも最もカジュアル度が強く、ストリート・ファッションには欠かせないアイテムです。

ニット帽の歴史

いつから生まれたのか正確には不明ですが、ブリム(つば)がなく、頭にフィットした形のニットで編まれた帽子は、ずっと以前から一般階級を象徴するアクセサリーとして親しまれてきました。
また世界の寒冷地域でも防寒のためにニット帽は昔からかぶられていました。フランス革命時に市民権を得たサンキュロットの赤い三角帽は、現在のニット帽とほとんど同じ形です。

フランス革命のサンキュロット

また、ポンポン付きのニット帽は北欧の民族衣装などでも見ることができます。

赤いポンポン付きのニット帽をかぶる北欧のサーミ族の少年

Rovaniemi – Sami boy
by
Tarja Ryhannen Mitrovic
, on Flickr

初心者でもすぐできる、基本のニット帽のかぶり方

頭の形に沿うようにかぶるニット帽は、最初から深くかぶらないのがポイント。深めにかぶると、あとで帽子のシルエットを整える際、ヘアスタイルがぐちゃぐちゃになってしまうからです。
また、ニット帽には実にさまざまな色や形があります。失敗を避けるには、やや“ざっくり感”のある、太めの編み糸でつくられたものがよいでしょう。そして、ほとんどの日本人の髪色に合う色は、グレーです。

1) クラウン(頭を入れる部分)の後ろ側からニット帽をかぶる。前髪側は深くせず、軽くかぶせる。
2) ヘアのバランスを見ながら、帽子のサイドとフロントをかぶせていく。

キャスケット

キャスケットをかぶった女性

CandyBox Images / Imasia(イメージア)

キャスケットはどんな帽子?

フロント部分だけにブリム(つば)があり、クラウン(頭を入れる部分)はやや緩めにつくられています。元は男性のハンチング帽(鳥打ち帽)から派生したもので、基本的には同型ですが、クラウンに高さがあり、より丸みと柔らかさを帯びたものを指すことが多いです。生地はフェルトやツイード、ニット地などが多く使われます。

キャスケットの歴史

キャスケット(casquette)という言葉自体はフランス語。英語で言う「cap(キャップ)」を意味します。つまり軽く、実用的で、どちらかといえばカジュアルシーン寄りの帽子です。19世紀のアメリカで新聞売りの少年がこれをかぶっていたことから「ニュースボーイキャップ」とも呼ばれていますが、当時の労働者階級の男性であれば、職種は問わず概ねこの「前ひさしのフラットキャップ」をかぶっていたようです。

1912年撮影のキャスケットをかぶるアメリカの新聞配達の少年たち

現在はクラウンによりボリュームを出した、コロンとしたシルエットのものが増えています。

初心者でもすぐできる、基本のキャスケットのかぶり方

キャスケットはベレーと違い、クラウンをつぶさずに丸みをいかしてかぶるほうが可愛いです。ただしその分、くだけたカジュアルな印象は強くなります。

1) キャスケットを目のあたりまでグッと深めにかぶる
2) ブリムをやや持ちあげる。このときシルエットは斜めに傾けず、水平のままにするのが基本形。

ソフト帽

黒いソフト帽をかぶっている女性の横顔

nikomi / Imasia(イメージア)

ソフト帽はどんな帽子?

ソフト・フェルト・ハットの略でソフト帽といいます。日本では中折れ帽という名称が一般的。その名のとおり柔らかいフェルト製で、クラウン(頭にかぶる部分)のトップが一部凹んだ形をしています。トラディショナルなタイプは、クラウンのふちがリボンで巻かれています。

ソフト帽の歴史

20世紀中頃のまでのモノクロ写真や映画を振り返ると、成人男性がこの帽子をかぶっているのをよく見かけるはずです。特に第二次世界大戦の頃までは、成人男性は外出時には帽子をかぶるのが常識であり、ソフト帽はマスト・アイテムとされていました。
特に有名なのはイタリアのボルサリーノ社製のもの。1969年公開の映画『ボルサリーノ』では、ギャングに扮したアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドのスーツ&帽子の着こなしが非常にセンスよく、一見の価値アリです。

DVDボルサリーノ<デジタル・リマスター版>

ボルサリーノ<デジタル・リマスター版>© 1970 Marianne Productions – Adel Productions – Mars produzione

初心者でもすぐできる、基本のソフト帽のかぶり方

ソフト帽で一番勘違いしがちなのが、「中折れの部分を持ってかぶる」こと。型崩れの原因になるのでこれはNG! ブリム(つば)を両手で持ってかぶるのが正しいかぶり方です。
1) 両手でブリムの前後を持つ。
2) 額にクラウンを当てて後ろを下げていく。深くかぶりすぎると中折れの形が変形するので注意。

キャペリン

つば広のキャぺリン帽子をかぶる女性

Choreograph / PIXTA(ピクスタ)

キャペリンはどんな帽子?

クラウン(頭にかぶる部分)は頭部にフィットし、ブリム(つば)が大きく広がった、女性らしいしなやかなラインを描く帽子。

キャペリンの歴史

大きいブリムの帽子自体は昔からありましたが、現在のキャペリンは19世紀末~20世紀のベル・エポックの時代に原型があると思われます。この時代の帽子はまるで、今で言う“盛りデコ”のように、クラウンの周りを羽や造花、果実などのさまざまなアイテムで飾り立てていました。こういった小物を乗せる面積の必要性からいっても、ブリムは大きくなければいけなかったのです。
20世紀に入ると、女性のファッションにも機能性と実用性が求められるようになり、帽子は一度コンパクトになります。
しかし戦後、クリスチャン・ディオールによる“ニュー・ルック”で、もう一度ワイドブリムが復活。以降、女性らしい曲線を描くキャペリンは廃れずに、現在まで続いているのです。

DVDボルサリーノ<デジタル・リマスター版>

By shakko (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

初心者でもすぐできる、基本のキャペリンのかぶり方

1) ブリムの前後を持ち、クラウンの後頭部側からかぶる。
2) 前髪側は最初は浅めにかぶり、徐々に下げていくと失敗しない。目深にしすぎず眉毛くらいの高さで止め、そこから角度をつけてもOK。

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