浴用石けん製造の日本市場、2035年には12億米ドル超へ成長予測

tokila編集部

株式会社マーケットリサーチセンターは、浴用石けん製造の日本市場に関する調査レポート「Japan Bath Soap Manufacturing Market 2026-2035」を公開しました。このレポートでは、日本の浴用石けん市場が2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)4.4%で拡大し、2035年には市場規模が12億8,763万米ドルに達するとの予測が示されています。

2025年時点の市場規模は8億3,712万米ドルに達しており、市場成長の背景にはホテル、旅館、温泉、旅行宿泊施設からの業務用需要の拡大、プレミアムスキンケア志向、詰め替え型商品の普及、オンライン販売の成長、機能性成分を取り入れた処方高度化などが挙げられます。

観光需要とプレミアム化が牽引する市場成長

市場の成長を特に牽引すると予測されているのは、プレミアム製品、液体バスソープ、そしてオンライン流通です。

プレミアム製品はCAGR5.7%、液体バスソープはCAGR5.3%、そしてオンライン流通はCAGR12.2%でそれぞれ伸長すると見込まれています。これらの分野は、市場全体の成長率4.4%を大きく上回る成長が期待されています。

市場の大きな特徴の一つは、宿泊・観光需要が製造側の数量需要を押し上げている点です。訪日旅行や国内滞在需要の増加に伴い、ホテルや旅館、温泉施設では石けんやボディソープの大量調達が継続的に必要とされています。

製造企業には、価格効率、香りの安定性、品質、保管性を両立した業務用製品が求められています。特に客室や大浴場での使用量が多いため、一般家庭向けとは異なるコスト構造や包装仕様が重要であると指摘されています。

進化する浴用石けん市場のトレンド

サステナビリティへの対応と詰め替え型の普及

サステナビリティへの意識の高まりは、浴用石けんの製造戦略にも影響を与えています。メーカー各社は、プラスチック使用量や包装コストを抑えるため、詰め替え用パウチや濃縮型、固形石けんなどの製品を増やしています。

自治体のリサイクル目標や循環型包装を促す国内方針も、詰め替え型製品の増加を後押ししているといいます。具体例として、2021年にはPalsystem Consumers' Co-operative Union、TOPPAN、TAIYO YUSHIが環境面や人権面を意識したボディソープを販売した事例が挙げられています。

スキンケア機能の強化と多様な製品開発

浴用石けんは、単なる洗浄剤からスキンケア商品へと進化している傾向が見られます。メーカーは、セラミド、プレバイオティック抽出物、バクチオール、マイルドな酸などを配合し、加齢肌、皮膚バリア、マイクロバイオームなどを意識した処方を強化しています。

2024年3月にはKaoがBioré Zeroシリーズを投入し、高温・湿度による不快感に対応する製品を展開しました。これは、季節や肌状態、生活環境に合わせた機能型製品への細分化が進んでいることを示しています。

また、ホテルや薬局などB2B顧客向けでは、広告イメージだけでなく、臨床的な裏付けや皮膚科的な評価も重視される傾向にあります。特に敏感肌や高齢者向け施設などでは、刺激性の低さや保湿性を客観的に説明できることが採用条件になりやすいです。

製造工程の自動化と品質管理

製造工程においては、自動化とデジタル品質管理が収益性を支える重要な要素となっています。原材料価格が変動する中で、メーカーはインラインNIRスキャナー、自動計量、PLC制御、画像検査などを活用し、バッチごとのばらつきや廃棄の削減に取り組んでいます。

この自動化は、品質安定だけでなく多品種少量生産にも有効です。バーのサイズ、詰め替えパウチ、成形形状などの切り替え時間を短縮することで、ホテル向けプライベートブランドや小規模ブランドからの注文にも柔軟に対応できるようになります。

製品別に見る市場の特性

プレミアム製品とマス製品の需要

製品別では、プレミアム製品とマス製品に大別されます。プレミアム製品は市場価値の中心となっており、スキンケア機能、香り、ギフト性などが高単価を支えています。日本では入浴がスキンケア習慣と結び付きやすく、低刺激界面活性剤、機能性成分、上質な香りなどを組み合わせることで、高価格帯でも価値を訴求しやすい市場です。

レポートでは、SodashiがThe Ritz-Carlton Tokyoと連携し、石けんやシャンプーなどのプレミアムウェルネス商品を提供している例が挙げられています。一方、マス製品は数量面で重要であり、業務用供給や日常用途で安定した需要を保持しています。

固形石けんと液体石けんの役割

形状別では、固形バスソープと液体バスソープに分類されます。現在は固形石けんが最大の売上シェアを占めています。これは、包装使用量が少なく、輸送重量を抑えやすく、保存性が高く、製造・保管効率にも優れるためです。

固形石けんは特にサステナビリティとの親和性が高いとされています。メーカー側も、成形技術、乾燥技術、香り保持性などを改良し、保存中に香りが飛びにくく、割れにくく、泡立ちや肌触りに優れる製品の開発を進めています。

一方、液体バスソープはCAGR5.3%と、固形石けんよりも速い成長が見込まれています。ポンプ式、詰め替え型、敏感肌用などの商品展開がしやすく、機能性成分や香りも設計しやすい点が強みです。液体タイプでは、詰め替え方式がプラスチック使用量を抑える重要な手段となっています。

流通チャネルにおける変化とオンラインの台頭

流通チャネルでは、スーパー・ハイパーマーケットが最大のシェアを占めていますが、オンラインチャネルが最も高い成長率を示しています。オンラインは2026年から2035年にかけてCAGR12.2%で成長すると予測されており、これは市場全体の成長率を大幅に上回る数値です。

ECでは、メーカーが限定商品、詰め替えセット、定期購入パックなどを直接販売できる利点があります。実店舗の棚スペースに制約されないため、ニッチな香りや自然派処方、地域ブランドなども販売しやすい環境です。オンラインはブランドストーリーを伝えやすい点も重要であり、プレミアムブランドとの親和性が高いとされています。

競争環境と市場の変革

主要企業の動向と差別化戦略

競争環境においては、肌へのやさしさ、処方安全性、生産効率が主要な競争軸となっています。主要企業としては、Cow Brand Soap(牛乳石鹸共進社)、Lion(ライオン)、WAWAZA、Beauty Secrets of Japanなどが挙げられ、このほかUnilever(ユニリーバ)、Johnson & Johnson、Shabondama Soap(シャボン玉石けん)、Sanwa WINGSなどが市場に参加しています。

Cow Brand Soapは伝統的な鹸化技術と肌へのやさしさを重視し、長期的な信頼を築いています。Lion Corporationは大規模製造と技術型処方に強みを持ち、マス商品からプレミアム商品まで対応しています。WAWAZAやBeauty Secrets of Japanのような小規模ブランドは、天然原料、地域性、職人性、ストーリーで差別化を図っています。

今後の市場を左右する要素

今後の市場では、ホテル・旅館向けと一般小売向けの両方に対応できるメーカーが有利になると考えられます。宿泊施設向けでは大量・安定供給と価格が重要ですが、一般小売では香りやスキンケア機能、ブランド性が重要であり、両市場で求められる条件が異なります。

サステナビリティについては、固形石けんと液体詰め替えという二つの方向が同時に進むと見られています。固形は包装量・輸送重量を抑えやすく、液体は詰め替えにより容器廃棄を減らせるため、用途別に選ばれる構造になるでしょう。

日本の浴用石けん製造市場は、単なる「大量に石けんを作る市場」から、「肌機能、香り、サステナビリティ、包装、観光・業務用需要まで含めて製品設計する付加価値型のパーソナルケア製造市場」へと変化していくと予測されています。

今後の競争力を左右するのは、洗浄力や価格だけでなく、肌へのやさしさ、原料調達の信頼性、包装効率、ホテルなどへの大量供給能力、そしてECやプレミアムブランド向けに柔軟な小ロット生産ができるかどうかであると、レポートは結論付けています。

詳細については、株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトをご確認ください。
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